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マインドフルネス健康経営（MBHM）の概要

日本マインドフルネス健康経営（MBHM）協会

　 代表・臨床心理士　刀根良典

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本講演は、3つの主題で構成されています。まず、健康経営について説明し、次に「マインドフルネス健康経営（MBHM）」の定義と目的について掘り下げ、最後にマインドフルネスそのものの実践として、呼吸瞑想を体験します。

１　健康経営の重要性

●健康経営の背景

「健康経営」とは、従業員の健康管理を経営的な視点から戦略的に実践することを指し、これは日本の経済産業省が推進している取り組みです。従業員の健康を「コスト」ではなく「投資」として捉えることが、健康経営の本質的な特徴です。企業が従業員の健康に投資することで、長期的には生産性の向上や医療費の削減、企業イメージの向上につながります。

●健康経営の効果

健康経営にはいくつかの具体的な効果があります。

1. 医療費削減: 従業員の病気を予防することで、医療費の削減が期待できます。

2. 生産性向上: 健康な従業員が多いほど、仕事の効率も向上します。

3. 企業イメージ向上: 健康経営を推進している企業は、長時間労働やパワハラの改善に取り組み、社員が働きやすい環境を作るため、ブラック企業のイメージを避け、優秀な人材の確保や顧客からの信頼が向上します。

●健康経営の具体的な取り組み

健康経営の具体的な取り組みとしては、健康診断やストレスチェック、ウォーキングマップの作成、社員食堂での栄養バランスの取れたメニューの提供などがあります。しかし、これらの取り組みだけでは本当の健康経営とは言えません。なぜなら、これらの対策はあくまで「病気を見つける」ためであり、「病気にならないための生活の改善」や「ストレスを減らす具体的な方法」を提供しなければ、真の健康経営には繋がらないからです。

●健康経営の目標

健康経営の目標は、単に従業員に健康的な行動を促すことだけではなく、経営層がその意義を理解し、戦略的に取り組むことが重要です。従業員がストレスを感じず、健康を維持できる環境を整えることが最終目標です。そのため、経営者自らが健康経営を推進し、従業員に対してもセルフケアの重要性を伝えることが求められます。

●健康経営の国際的な動向

アメリカでは、「ヘルシーカンパニー」という概念が生まれ、従業員の健康管理と経営管理を統合的に捉える企業が増加しています。これは、組織全体が従業員の健康を重視し、長期的な利益を追求するための手段として広く受け入れられており、日本もこの流れに続く形で、健康経営を積極的に推進しています。

●健康経営の認証制度

日本政府は、健康経営に積極的に取り組む企業に対して「健康経営有料法人」や「ホワイト500」といった認証を与えています。これにより、健康経営を実践する企業は社会的信用が向上し、優秀な人材の確保や企業価値の向上に繋がっています。また、一度認証を受けた企業も、継続的に努力を続けなければ次回の認定が得られないため、常に改善が求められます。

●マインドフルネスの概念

マインドフルネスとは、仏教の瞑想に由来する概念であり、ストレスを軽減し、脳をリフレッシュさせる効果があるとされています。この手法は宗教的な要素を取り除き、西洋式にアレンジされ、Appleの創業者スティーブ・ジョブズなども取り入れていたことで注目を浴びました。マインドフルネスは特定の宗教に限定されず、誰でも実践可能なメンタルケア手法です。

●マインドフルネスの効果

マインドフルネスを実践することで、脳のリラックスが促され、集中力が高まり、ストレスへの対処能力が向上します。特に現代のビジネス環境では、従業員が過剰なストレスを抱えやすく、これが生産性の低下やメンタル不調の原因となっています。マインドフルネスを日常的に取り入れることで、従業員は自己管理能力を高め、健康的な生活を維持しやすくなります。

●「マインドフルネス健康経営（MBHM）」ストレス・リダクション　プログラムの実践

マインドフルネス健康経営（MBHM）は、企業の健康経営の取り組みの一環として、従業員の心身の健康を維持するためのツールとして提案されています。これは、企業が提供する健康診断や栄養管理と同様に、従業員の健康維持に寄与するものです。しかし、マインドフルネスは単なる施策の一つではなく、従業員が主体的に実践し、心身のバランスを保つための「セルフケア」の一環として位置付けられています。

●呼吸瞑想の体験

今回の講演の後半では、マインドフルネスの基本となる「呼吸瞑想」を体験します。これは、呼吸に意識を集中させるシンプルな瞑想法であり、誰でも簡単に始めることができます。日常生活の中でストレスを感じた時や、集中力が必要な場面で、この瞑想を取り入れることで、心を落ち着かせ、再びリフレッシュした状態で仕事に取り組むことができます。

マインドフルネスを健康経営に取り入れることで、従業員のメンタルヘルスの改善が期待されます。特に、メンタル不調は予防が可能であり、適切な知識と実践的なスキルを従業員に提供することで、精神的な健康を維持することができます。企業は、従業員がストレスを管理し、健康的な生活を送るための環境を整える必要があります。

マインドフルネス健康経営は、ただの一時的な流行ではなく、長期的に企業の持続的な成長を支える重要な要素となるでしょう。従業員の健康が企業の成長に直結することを理解し、戦略的に取り組むことが、これからの企業経営に求められています。

健康経営は、単に従業員の健康を管理するだけでなく、戦略的に経営に組み込むことで、企業全体の生産性向上やイメージ向上に繋がります。さらに、マインドフルネスを取り入れた健康経営（MBHM）は、従業員のメンタルヘルスを改善し、長期的な企業の成功に貢献します。今後、企業はマインドフルネスを健康経営に組み込むことで、より健康で持続可能な経営を実現していくことが期待されます。