第3回日本ホリスティック教育/ケア学会(2019年6月22日~23日 天理大学)発表要旨
「マインドフルネス」の第Ⅳ領域「教育・文化活動モデル」による
新しい「マインドフルネス・実践プログラム」の提案
刀根良典(とね臨床心理士事務所)
髙木浩史(下関リハビリテーション病院)
松沢妙映(コスモ歯科クリニック)
門脇まゆみ(フラワーショップ CHA CHA DO)
近年、我が国においても高い関心を集めている「マインドフルネス」は、筆者(刀根)の見るところ、
①医療モデル、
②ビジネスモデル、
③宗教モデル、
という大きく異なる3つの領域が混然とした状態のまま、世の中に広がりはじめているように思える。
同じ「マインドフルネス」でも、この3つは目的が大きく異なっている。そのため、油断すると、教える側、学ぶ側の双方にミスマッチが起こりやすく、瞑想会に参加することで、逆に迷いや悩みが深くなってしまうという、いわゆる「瞑想難民」を生んでしまう結果となりはしないか、ということも危惧される。
そこで、自分はどのモデルを行っているのかということを、教える側も学ぶ側も、明確にした上でマインドフルネスに関する研修会を実施・受講する方が、間違いが少なくなるのではないかと思い、今回の提案を行う。
ここで述べる、①医療モデルとは、カバットジンのMBSR(マインドフルネス・ストレス低減法)、シーガルらのMBCT(マインドフルネス認知療法)等、うつ病、不安症、ストレス性疾患、等への治療法として知られているプログラム群やそれを模したものである。
②ビジネスモデルとは、当初、Google、yahoo、アップル等の有名IT企業で実施され、次第に他企業にも広がり始めているプログラム群である。
③宗教モデルとは、マインドフルネスという名称で寺院や僧侶により指導が行われているものである。
それぞれ長所はあるにしても、
「①の医療モデル」に関しては、瞑想指導者が医師の指示を受けないで治療を目的に実施した場合、関係法令に抵触する恐れが出て来る。
「②のビジネスモデル」では、将来、マインドフルネスが誤解して受取られ、ビジネスに成功するための能力を開発する方向に偏ってしまった場合、人間疎外を深めてしまうことにもなりかねない。
「③の宗教モデル」では事実よりも、誰が云ったのか、開祖が語ったことなのか、何の経典に書いてあるのか、等々が真偽を判定する根拠となりやすく、科学性が失われてしまいやすい。
加えて、宗教となると公立学校等の公的機関では実施できない。このような問題点も考えておかなければならないだろう。
これらの事柄をふまえた上で、今回の発表においては、①医療モデルでも、②ビジネスモデルでも、③宗教モデルでもない、④第Ⅳの領域である「教育・文化活動モデル」による「マインドフルネス実践プログラム」を提案するとともに、演者らが実践した事例のいくつかを紹介したい。
第Ⅳの領域である「教育・文化活動モデル」による「マインドフルネス」は、憲法によって保証された「学問の自由」に基づいて展開される。
目指すところは、教育基本法に述べられているところの「人格の完成」である。したがって、メンタル不調の治療でもなく、宗教的な悟りや法悦でもなく、人格の調和的発達をサポートすることを主たる目的として行われる。そのため、ホリスティック教育とも共通点が多いと思われる。
(参考資料)
安心・安全な「瞑想」の仕方
(とね臨床心理士事務所)
●瞑想の目的の一つは、「人格(パーソナリティー)の調和的発達」にあります。
●瞑想は、健康的で快い体験です。また、瞑想は、質の高い休息です。
●心身一如。健康な生活をすれば、心も健康になります。「マインドフルネス瞑想」を学ぶことを通して、毎日が「健康的なライフスタイル」になるよう心がけていきましょう。
●瞑想は、明るくて空気の清浄な部屋で行いましょう。
●瞑想は、清潔で、室温も適切な、健康的な環境で行いましょう。
●瞑想は、長くても一回につき20分間程度を目安としましょう。長時間すればいいというものではありません。できれば、朝、夕の2回の瞑想タイムを習慣化しましょう。
●瞑想の前に十分な睡眠時間をとりましょう。瞑想していて眠くなる時には多くの場合、睡眠が足りていません。その場合、睡眠時間を増やしましょう。また、瞑想するときには、食事、水分補給などを適切に行い、体調を調えるように心がけましょう。
●瞑想の効果は瞑想していないときに現れてきます。瞑想している時と同じくらいに、瞑想をしていない時を大切に過ごしましょう。
●「マインドフルネス瞑想」は「科学的な瞑想法」です。事実を大切にします。権威のある人が言ったからといって、それを鵜吞みにすることは避けましょう。現実の事実に合致しているかどうか、が大切です。事実に即して、主観と客観の調和のとれた生活を心がけましょう。
●瞑想をしているときも、していないときも、常に自分を大切に扱いましょう。そして、目の前にいる人を、自分と同じように大切にしましょう。
●瞑想をしていると、宗教や心の世界に関心のある人と出会うことも多いと思われます。他の人の宗教や心の世界に対しては、法や倫理に反する場合を除いては、賛成も反対もする必要はありません。相手の方が信じておられる宗教については、日本国憲法で保障された「信教の自由」に則り、賛成も反対もせず、リスペクト(尊敬、尊重、敬意を払う)するという姿勢でいることをお勧めします。
●今、一緒に瞑想をしている方々は、何かのご縁で同じ道を歩んでいる仲間です。お互いを尊重し、支え合い、助け合っていきましょう。
「マインドフルネス瞑想@維新やまぐちスタイル」は「教育・文化活動モデル」の瞑想プログラムです。
「明るく、楽しく、誰でも学べる」ことを目標の一つに掲げてプログラムが創られています。 ●「教育・文化活動モデル」による「マインドフルネス瞑想」の法的根拠 ・学問の自由は、これを保証する。(憲法第23条) ・豊かな人間性と創造性を備えた人間の育成を期するとともに、伝統を継承し、新しい文化の創造を目指す教育を推進する。(教育基本法 前文より) ・教育は、人格の完成を目指し、平和で民主的な国家及び社会の形成者として必要な資質を備えた心身ともに健康な国民の育成を期して行われなければならない。(教育基本法 第1条) ・国民一人一人が、自己の人格を磨き、豊かな人生を送ることができるよう、その生涯にわたって、あらゆる機会に、あらゆる場所において学習することができ、その成果を適切に生かすことのできる社会の実現が図られなければならない。(教育基本法 第3条) |
●幸せの瞑想
私が
健やかで、幸せで、平和でありますように
私のすぐ隣にいる人が
健やかで、幸せで、平和でありますように
この部屋の全ての人が
健やかで、幸せで、平和でありますように
このWebにつながる全ての人が
健やかで、幸せで、平和でありますように
この近所の全ての人が
健やかで、幸せで、平和でありますように
この街の全ての人が
健やかで、幸せで、平和でありますように
この市(町、村)の全ての人が
健やかで、幸せで、平和でありますように
この県(都、道、府)の全ての人が
健やかで、幸せで、平和でありますように
この国の全ての人が
健やかで、幸せで、平和でありますように
この地球の全ての人が
健やかで、幸せで、平和でありますように
(出典:ジョン・ミラー「ホリスティック教育」春秋社)