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【第7章】 日野原重明先生に学ぶ「赤面恐怖症」の克服法

 

ZEN電子図書(CDブック)
とね先生の読むカウンセリングシリーズ(1)
森田理論で神経質は幸せになれる 
とね臨床心理士事務所/ZEN図書出版

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第7章 日野原重明先生に学ぶ「赤面恐怖」の克服法

 

とね臨床心理士事務所 カウンセリング・オフィス「ZEN」主宰

臨床心理士 / 自律訓練法認定士 刀 根 良 典

 

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百寿を超えられた現役医師である日野原重明先生のことは、健康長寿に関心のある日本人であれば、今や知らない人はいないと言ってもよいと思います。現在も、聖路加国際病院の名誉院長・理事長としての多忙なお仕事の合間に、日本全国を飛び回って、いろいろな所にご講演をして歩いておられますので、あるいはこの文章を読んでおられる方の中には、実際に日野原先生のご講演を聞かれた方もあるかも知れません。皆様の中には、日野原先生を目標にしておられる方も多いのではないでしょうか。

 

日野原先生については、成人病という名称を改め「生活習慣病」という言葉を造られたことや、早くから日本におけるホスピスの開設にご尽力されたことや、「新老人の会」を立ち上げられ、自らも健康長寿を実現してみせておられること等の他、かつて赤軍派の引き起こした「よど号ハイジャック事件」に遭遇されたこと、オウム真理教の引き起こした地下鉄サリン事件のとき六四〇名のサリン被害者を聖路加国際病院が一手に引き受け、NHKの「プロジェクトX~挑戦者たち~」という番組にも取り上げられたこと等、ご存じの方も多いのではないでしょうか。

 

 私も、関係学会や講演会等で実際に何度か日野原先生のお姿を目の当たりにする度に、日野原先生の元気パワーに圧倒される思いです。講師として信じられないほどの高齢でありながら、なんであんなに元気なんだろう。まるでスーパーマン(スーパー新老人かな)のように見えます。平成一七年には文化人として最高の賞である「文化勲章」も受章しておられます。本当に現代の日本人の中で、最も有名な方の一人ではないでしょうか。 

 

●森田療法と日野原先生の「スピリチュアルケア」

 

私が、初めて日野原先生のご講演を拝聴したのは「日本スピリチュアルケア学会」でのことです。この学会は「すべての人々がスピリチュアリティーを有しているという認識に基づき、スピリチュアルケアの学術的・学際的研究およびその発表と実践とを通して、スピリチュアルケアを含む全人格的なケアが社会のあらゆる場面で実践されるよう推進すること」を目的に、二〇〇七年に設立された新しい学会です。理事長は日野原先生です。

 

森田先生や「生活の発見会」を創られた水谷啓二先生の晩年の著書を読むとよく分かりますが、元々、森田療法には、スピリチュアルケアに係わる領域が深く存在しています。そのため、以前からこの領域は、私の研究・実践テーマの一つでありました。

 

日本スピリチュアルケア学会で日野原先生にお出会いしたときに、スピリチュアルケアに関する日頃の疑問を解決しようと、緊張しながらも思い切って話しかけたところ、一参加者に過ぎない無名の私に対しても、実に親切かつ丁寧にご対応していただいたばかりか、記念写真までも一緒に写ってくださいました。そのとき以来、私は、大の日野原先生ファンとなりました。

 

  ●「赤面恐怖症」を克服された若き日の日野原先生

 

 今や、知らない人はいないと言ってもよいくらい、多方面に活躍しておられる日野原先生です。しかし、その日野原先生がお若い頃、「赤面恐怖症」で苦しまれ、それを克服された体験をお持ちであることを知っている人は少ないと思います。日野原先生が青少年のために書かれた「道は必ずどこかに続く」には、ご自分の「赤面恐怖症」の体験を次のようにお書きになっておられます。

 

 

「小学校時代の私は人前に出たり、緊張したりすると、すぐ顔が真っ赤になってしまう赤面恐怖症だったのです。授業で先生から当てられたりすると、それだけで心臓がバクバクし、顔にみるみる血がのぼりました。ですから、授業中はなるべく目立たぬよう机に目を伏せているのですが、なまじ勉強ができたために、よく『日野原』と当てられてしまうのです。顔を真っ赤にして、椅子から立ち上がる私は、たちまちクラスメートたちのからかいの対象になりました。顔が真っ赤な金太郎(坂田の金時)にそっくりだと、金時さんというあだ名をつけられ、よく冷やかされました。自分でも顔が赤くなることに強いコンプレックスを感じているわけですから、あだ名で呼ばれるのは本当に嫌でした。(そんな風に僕を呼ばないでくれ)と叫びたいほどでしたが、その勇気はなく、あだ名で呼ばれるたびに、ますます顔を赤くするだけでした。」

 

日野原重明 「道は必ずどこかに続く」(講談社)

 

 

 いかがでしょうか。これを読まれて、日野原先生に急に親しみが湧いて来られた方も多いのではないでしょうか。「よくぞ書いてくださいました!」との感を強く持たれた方もいらっしゃるでしょう。

 

 「赤面恐怖症」という言葉を聞いて、「顔が赤くなったって、別に命にかかわるわけでもないのに、何でそんなことが悩みになるの?」と不思議に思う人もいらっしゃるかも知れません。

 

しかし「赤面恐怖症」という心の状態に陥ってしまった人にとって、赤面という自分のコントロールを超えた不安感・緊張感に晒されることは、本当に辛く苦しいことなのです。

 

それに加えて、他人にはなかなか、この辛さを分かってもらえないという二重の苦しさに直面します。日野原先生が、このような少年時代の悩みの体験を、子どもたちのために包み隠さずに述べておられることに、私は感動すら覚えます。

 

・・・・・・・・・・・・・・(この後も、原稿は続いています。)・・・・・・・・・・・・

 

続きは、とね臨床心理士事務所から出版しています、CDブック第1巻「森田理論で神経質は幸せになれる」でお読みください。

 

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