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【第11章】  教育の立場から見た「森田療法」・・・・・平成25年度第31回日本森田療法学会(徳島大会)での発表原稿に加筆したものです

 

第11章  教育の立場から見た森田療法

 

 

とね臨床心理士事務所 カウンセリング・オフィス「ZEN」

臨床心理士 / 自律訓練法認定士  刀 根 良 典

 

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●はじめに・・・・森田療法の教育的側面

森田療法は、来談者の訴える個々の症状よりも、神経質の症状を発生させている考え方、生活態度、生活習慣等の誤りを正し、それらをより健康的なものに導いていくことに、その本質があります。これは治療というよりも、むしろ教育そのものと言ってもよいと思われます。

ここでいう教育とは、一般にイメージされる「学力向上」や「受験合格」あるいは「資格取得」などとは異なり、教育基本法で述べられているところの「人格の完成」を目指すといった本来の意味での教育を指しています。

森田療法と教育との関わりついて、「生活の発見会」創設者の水谷啓二氏は、森田正馬著「生の欲望」の前書きに次のように述べています。

「誤った家庭教育や学校教育によってゆがめられ、奇形化した患者の精神は、先生の愛情のこもった根気強い指導によって、自己本来の円満な姿を取り戻すことができた。」

「患者の考え方の誤りは、元をただせば周囲の者や社会の人々の誤った考え方に影響されて生じたものである。それゆえ、森田先生の神経質治療は、誤った社会常識に対する痛烈な批判であり、正しい意味での人間教育であった。」

(出典:森田正馬著「生の欲望」白楊社)

このように、この本の前書きにも、森田療法の教育的側面が明確に述べられております。そこで、この小論では、森田療法を教育(人間教育)という立場から見ることを通して、森田療法の本質と生活の発見会で展開されている森田理論学習運動について考察してみたいと思います。

 ●社会教育団体としての「生活の発見会」

森田療法を実施すれば医療・相談機関、等においても教育的働きかけが強くなっていくことと思われますが、特にその中でも、筆者が約四〇年間という長きに渡って関わり続けてきた「生活の発見会」は、森田療法の教育的な側面を社会教育(市民教育運動)に発展させてきたものである、と私は捉えております。

 「生活の発見会」は一般的には自助グループの一つという受け止め方をされているようですが、その捉え方だけではあまりに一面的であり、森田療法の持つ様々な潜在力、とりわけ人間を成長・発達・発展させ、家庭、職場、地域、社会にそれぞれの立場から貢献できる、かけがえのない人材を多く育てているという事実、すなわち森田療法の持つ教育的な側面が、すっぽりと抜け落ちてしまうこととなります。

ここで育った多くの会員の方々の事例を見るときに、「生活の発見会」は、単なる自助グループをはるかに超えた、優れた人材育成機能、人格形成機能を持つ社会教育団体であることが分かります。

そこで今回は、「生活の発見会」で一会員に何が起こっているのかを、教育を語るときの重要なキーワードである「出会い」という視点から、①師との出会い、②会員との出会い、③会員が収集・獲得した生きた知識の集大成としての「発見誌」との出会い、④構成された教育システムや学習の場との出会い、等について一参加者の体験を一つの事例として取り上げ、森田療法の教育的な側面を考察してみたいと思います。

●教育と「出会い」

「出会い」は、教育を語るときに極めて重要な鍵概念です。特に人との出会い、すなわち学びの場で誰と出会うかは、教育においては決定的なものがあります。

教育は、学校(学びの場)と教材と教育課程(カリキュラム)があれば成立するかと申しますと、それだけでは教育にはなりません。そこに尊敬できる「人」との「出会い」がなければ、教育としては無意味、無価値であると言っても言い過ぎではないと思います。

そして、この「人」との「出会い」は、人間の運命を突然に変えてしまう強い力を持っています。善きにつけ悪しきにつけ「出会い」は、人間を変え、その人の運命を変えてしまいます。「出会い」は、そのような「峻厳さ」をはらんでいます。ドイツの教育哲学者であるボルノーは「出会い」について・・・・・・・・・・・・・・・

 

・・・・・・・・・・・・(この後も、原稿は続いています。)・・・・・・・・・・・・

 

続きは、とね臨床心理士事務所から出版しています、ZEN電子図書(CDブック)第1巻「森田理論で神経質は幸せになれる」でお読みください。

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