森田療法と人間の成長 ~「症状」森田から「自己実現」森田へ
筑波大学名誉教授 森昭三先生 推薦!
(びわこ成蹊スポーツ大学 元・学長 日本教育保健学会 元・理事長)
本書は神経質症(対人恐怖、疾病恐怖、不安、緊張、等)を解決するだけでなく、「あるがまま」の自分らしい生き方、すなわち「自己実現」を目指しておられる方へ向けた書物です。「森田療法」と「マインドフルネス」について、一般の方にも分かりやすく書かれています。
「森田療法」は、来談者の訴える個々の症状よりも、神経質の症状を発生させている考え方、生活態度、生活習慣等の誤りを正し、それらをより健康的なものに導いていくことに、その本質があります。これは治療というよりも、むしろ人間教育そのものと言ってもよいと思われます。
その「森田療法」の一般への普及活動を行っている「生活の発見会」という社会教育団体があります。この会の歴史は古く、一九五七年に、当時、共同通信社論説委員であった水谷啓二氏によって設立され、現在はNPO法人「生活の発見会」として法人格を持つ社会教育団体に発展しています。本書は、この「生活の発見会」の森田理論学習運動の中から生まれたものです。
「森田療法」を医療機関で行われる精神療法の一つだと一面的に捉えるのではなく、人間の成長を促し、「自己実現」や「自己超越」に向けて人間を変容(transformation)させてゆく「人間教育(森田人間学)」として考えてみたい、という方々へ、本書が僅かでも参考になりましたら、これ以上の喜びはありません。
本書には、以下の内容が書かれています。
プロローグ・・・森田正馬が語る「森田療法」とは 14
●第1章 実現したい夢があるのに、どう始めればよいのか? と迷っているあなたに 17
「生活の発見会」で人間教育の世界に目覚める / 通信教育で教員免許状が取得できる / 会社員を続けながら、休日は通信教育のレポートを書き続ける / 会社に勤めながら、どうやって受験勉強の時間を確保するか / 他
●第2章 神経質の悩みと心のからくり 26
神経質の悩みとは、どのようなものか / 学校で発生しやすい神経質の悩みのあれこれ / 森田療法で直るようになった神経質の悩み / 神経質の悩みの発生のからくり / 神経質症を予防するためには
●第3章 森田理論のエッセンス 56
物事は常に変化発展していく / 物事は視点を変えていろいろな角度から見る / 感情は行動にともなって変化する / 事実は「あるがまま」に認めよう / みんなが幸せになるように考えて行動しよう / 生活のリズムとバランスを大切にしよう / 自分の本来の欲求に目覚めよう / 過去にとらわれずに、今を充実させよう / 感情には責任はない、行動には責任がある / 不愉快なことが、悪いとはかぎらない
●第4章 森田療法の神髄「あるがまま」について 72
「かくあるべし」で人間の自然な本性を縛ると / 森田療法には、誤った教育のやり直しという側面が / 「かくあるべし」を強調すると / 神経症的な人の多くは / 「かくあるべし」という当為を捨て / 「あるがまま」とは /他
●第5章 神経質の悩みから立ち直るために 84
神経質の心の悩みの大部分は / 自分の意思でコントロ-ルできることに取り組む / 仕事はていねいに行うようにつとめる / 現実の事実をどのように受け取るか / いくら病的な感じが強くても / 平等観に目覚める /他
●第6章 神経質の「落とし穴」 105
症状を「ものさし」にしてはいないか / 完全無欠へのとらわれはないか / 人生の脇見運転 / 対人恐怖と見栄 / 勝ちたがりの傾向も / コブ取りのジレンマ / モリタ天狗現象 / 神経質万歳主義に自戒
●第7章 生涯学習のテーマとして考える「危機の理解と支援」115
危機とは何か / 人生における危機的状況 / 危機における心理状態の特徴 / 危機と心理的トラブル / 友人・知人の心理的危機への対応
●第8章 日野原重明先生に学ぶ「赤面恐怖症」の克服法 136
森田療法と日野原先生の「スピリチュアルケア」 / 「赤面恐怖症」を克服された若き日の日野原先生 / 日野原先生の「恐怖突入」体験 / ペイフォワードという生き方 / 「いのち」とは時間そのもの。生き方とはその使い方 / すべての人々がスピリチュアリティーを有している / 他
●第9章 森田理論とマインドフルネスで心を支える 山口新聞 東流西流 148
心を支える / 勝ち過ぎは災いの元 / 不愉快だけど大切! / 学んで損はない / 健康経営とEAP(従業員支援プログラム) / 先生を支援する / ストレス軽減効果が科学的に実証されたマインドフルネス / 受験生に行ったストレス・マネジメントの授業 / 小なりと雖も
●第10章 「症状」森田から「自己実現」森田へ 157
森田理論学習とは「自己実現」へのプロセスに他ならない / 症状の克服は森田理論学習の入り口にすぎない / 病気ではないので、神経質の症状は取り除かない / 強い「生の欲望」に乗り切って生きる / 「自己実現・森田」私の場合は / 他
●第11章 「受容」と「共感」~自己・生命・存在への気づき 170
自己受容は、人間存在の一回性に対しての深い目覚めから / 自己受容、それは理解とともに / あなたも私も、人間はすべて交換不可能 / 優越感と劣等感は、実は同じコインの裏と表の関係 / 誰もが苦悩して生きている / 生命の「はかなさ」と生命の持つ「力づよくダイナミック」な両面 / 自己受容とは / 他
●第12章 下村湖人の「次郎物語」に学ぶ人間の教育 183
下村湖人の自伝的な小説 / 全ての子どもが本能的に求めているもの / 孟母三遷の教えを、そのまま実行した、次郎の母親お民 / 実の母親に馴染めない次郎 / 最初に父親に出会った時のこと / 子どもの発達段階に合致した働きかけ / 子育てでは自然の愛情を注ぐ / 他
●第13章 教育の立場から見た森田療法 210
森田療法に「出会う」ことで、運命を好転させて来られた、多くの会員の方々の実例 / 人間教育としての森田療法 / 治るとは何か? / 症状不問に見る人間教育としての森田療法 / 森田療法は優れた人間教育法である / 他
●第14章「自分さがしの旅」の教育観を森田療法から再考する 228
現実を軽んじる「自分さがし」では砂上の楼閣 / 根岸症例から見る「森田療法」の教育的側面 / 若き日の水谷啓二氏に森田正馬が指導した事例・・・境遇に従順なれ / 臨済録から・・・・・「仏とは何か? お前が仏ではないか!」 / 「自分さがし」のワナ / 今、ここの、この自分。それが尊い! そして、その自分が、今、何をしてる?
●第15章 教職員がメンタル不調を予防するには 247
全国で、7千人を超える先生方が精神性疾患で休職 / 自分一人で問題を抱え込まない / EAP(従業員支援プログラム)という制度 / どんなに仕事が忙しくても、必要な睡眠時間をきちんと確保する / 「学級経営パーソナル・コーチング」という相談事業 / マインドフルネス瞑想を、生活の中に取り入れてみる / 他
●第16章 森田療法的カウンセリングに「マインドフルネス」を取り入れる 260
お釈迦様の瞑想法が心理療法に取り入れられる / 禅やヨーガの瞑想法が医学や心理療法の分野に / カバットジン博士が来日 / 「マインドフルネス」による癒しの力・・・MBSRを構成する5種類の瞑想プログラム / MBSRのような瞑想的な手法を教育の場に適用するには / 他


