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●周南市里親会で「マインドフルネス子育て法」のお話をしました

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マインドフルネス健康法という心の健康習慣

~ 周南市里親会での講演記録 ~

とね臨床心理士事務所 代表・臨床心理士 刀根良典

2025年5月13日(火) 共楽園

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はじめに・・・「マインドフルネス」とは

 

テレビや雑誌などで、最近よく耳にするようになった「マインドフルネス」。もしかしたら、NHKなどの特集で目にされたことがあるかもしれません。私が今日お話ししたいのも、この「マインドフルネス」についてです。

今日は、里親会の皆様に向けた講演ですが、「マインドフルネス」を行う対象は、子どもではなく大人です。今回ぜひ知っていただきたいのは、この「マインドフルネス」は、大人、特に中高年世代の私たちにとって、とても役に立つ、心と身体を調える技法だということなのです。

 

  • 先ずは「子どものため」ではなく、「自分のため」に取り組む

「マインドフルネス」を学んだからといって、すぐにお子さんやお孫さんに教えないでください。まずはご自身の心と体の状態に目を向けてみてください。なぜなら、これは「自分の内側を整える」ためのトレーニングだからです。

「マインドフルネス」には、さまざまな実践法がありますが、本日はその中でも、最も簡単で、すぐに効果を実感しやすい方法を中心にご紹介します。今、この話を聴かれている皆さんに、ぜひ体験していただきたいと思います。

 

1 最初に感じる効果は「よく眠れるようになること」

 

「マインドフルネス」を実践すると、まず実感するのが「睡眠の質が変わる」という点です。不眠に悩んでいる方や、夜中に何度も目が覚めてしまうという方には、特におすすめです。

もちろん、何か体の病気が原因で眠れない場合には、医療的な対応が必要です。今日の話は、身体の病気がないということを前提にしています。ここは、くれぐれもご注意の上、お聴きください。

加齢や日常のストレスなどが原因で眠りが浅くなっているなら、「マインドフルネス」が効果的な助けになります。

 

  • 年齢とともに変わっていく話題、そして眠りの悩み

私自身、今ではもうすぐ74歳になります。あと1年で後期高齢者です。私たちの世代の者が、同世代の人たちと話すと、年齢とともに話題が大きく変化していったことを実感されるのではないでしょうか。

若い頃は、付き合っている恋人の事や結婚の話題で盛り上がり、やがては子どもの保育園や幼稚園の選び方、子どもの進学や就職、子どもの結婚の話へというように、年齢を重ねるごとに中心の話題が移っていきます。そして今では、孫が生まれたという話から、最終的には「血圧」や「眠れない夜」の話ばかりしているという状況になりがちです。

ある方は、「正直に言うと、年齢を重ねるごとに、同窓会に行くのも少し気が重くなる」と言っておられました。「また体調の話ばかりか…」と思ってしまうと言うのです。若い人と話す方が、前向きな気持ちになれる、というようなことも言っておられました。

 

  • 「夜中に目が覚める」高齢者に共通の悩み

高齢の方からよく聞くのが、「夜中に突然目が覚めてしまい、そのまま朝まで眠れない」という話です。午前1時や2時に目が覚めてしまう。そして眠れないまま布団でじっとしていても仕方がないので、4時半や5時には起き出して台所などで動き始める。

けれどもその行動が、家族にとっては騒音に感じられてしまい、怒られてしまう。そんな話もよく耳にします。

私が子どもの頃は、どこの家庭でも祖父母と言われる方々がとても早起きでした。当時の私は「昔の人は、戦前の教育で精神が鍛えられているから早起きなんだ」と思っていました。でも、実は違っていたようです。この歳になって気づきました。彼らもまた、夜に眠れなかったのだ、と(笑)。

 

  • 「5時間眠れれば十分」…でも?

周りの人に相談すると、「もう70歳を過ぎたら、5時間眠れれば十分ですよ」と言われることがあります。確かに、加齢によって必要な睡眠時間が短くなるというのは事実かもしれません。

でも、実際に眠れない夜を過ごす本人にとっては、それがどれほどつらいものか、周囲の人にも、なかなか理解されません。中には、眠れない苦しさから睡眠薬を使って眠る人もいます。家族からは「明日は仕事があるわけじゃないんだから、薬まで使う必要はないでしょう」と言われることもあるようです。当人にとっては、それほどまでに「眠れない」ということは、深刻なストレスなのです。

 

  • 「マインドフルネス」で、8~9時間ぐっすり眠れるように

私自身、長年マインドフルネスを実践してきました。今では、もし「今すぐ寝てください」と言われたら、本当に8時間でも9時間でも眠ることができます。まるで高校生の頃に戻ったかのように、ぐっすりと眠れるのです。

どうしてそんなことができるのか?実は、夜中に目が覚めたときに、「マインドフルネス」をするのです。呼吸に意識を向け、雑念を手放し、ただ「今ここ」に心を置いていく。そうすることで、自然に再び眠りに落ちていきます。

 

  • 眠れない人こそ、今日から始めてほしい

「寝つきが悪い」「夜中に何度も起きてしまう」「朝早く目が覚めてしまう」――そんな悩みを持つ方にこそ、今日から「マインドフルネス」を試してほしいと思います。

そもそも瞑想は覚者(目覚めた人)になるために行うわけですが、最初の効果はよく眠れることに出てきます。私たち凡人は、それで良いではありませんか(笑)。

「マインドフルネス」には、特別な道具も、お金も、時間もいりません。必要なのは、少しの静かな時間と、ほんの数分、自分の呼吸に意識を向けるだけ。それだけで、心と体がじわりと落ち着いていくのです。

 

  • あなたに「安心感に包まれた静かな夜」を届けたい

年齢を重ねると、眠りの質が落ちたり、体が不調を訴えたりするのは自然なことです。しかし、それをただ「年だから」とあきらめるのではなく、自分自身の心を整えるという視点を持ってみませんか?

「マインドフルネス」は、静かな夜を取り戻すだけでなく、日々の生活に小さな安らぎと前向きな気持ちを与えてくれます。ぜひ、今日から取り入れてみてください。

あなたの夜が、穏やかで深い眠りに包まれますように。

 

2 ストレス社会を生き抜くための「マインドフルネス」

~ アメリカのシリコンバレーで起きていたこと ~

 

「マインドフルネス」についてのお話を続けてゆきます。

「マインドフルネス」これは、ストレスを和らげ、心を整えるための方法のひとつです。しかも、アメリカのシリコンバレー、あのGoogleやAppleといった最先端企業の社員教育に取り入れられているのです。

驚くことに、Apple創業者のスティーブ・ジョブズもマインドフルネスの実践者でした。どうして、世界のトップを走る彼らがそんな「瞑想」のようなものに取り組んでいるのでしょうか。

理由はシンプルです。彼らは、自分の頭脳を最高の状態に保ちたいから

リラックスすること、集中すること、そしてストレスを管理すること。それが、よい仕事とクリエイティブな成果につながると知っているからです。

 

  • 私たちもできる、「マインドフルネス」の実践

「でも、あの人たちは特別な人だからできるんでしょう?」と感じる方もいるかもしれません。けれど、実は「マインドフルネス」は誰でも取り組むことができます。

日常のちょっとした時間でもできるこの習慣は、私たち自身の中に眠る力を引き出してくれるのです

この機会に、あなたも心と向き合う時間を持ってみませんか?

 

  • 日本が20年遅れた理由

ところで、この「マインドフルネス」という概念、実はもともとは日本や東洋の文化に根ざしていたものなのです。日本人にはなじみ深いはずのこの瞑想法が、なぜか日本では広まらず、アメリカやイギリスで発展していきました。

理由は、約30年前のある事件にあります。当時、瞑想やヨガを教えていた新宗教団体が、社会を震撼させる事件を起こし、その影響で「瞑想=怪しいもの」というイメージが定着してしまいました。

その結果、大学や研究者が瞑想を科学的に研究することさえ難しくなり、日本では完全に遅れをとってしまったのです。その間に、アメリカやイギリスでは瞑想が宗教色を脱ぎ捨て、「心の健康法」として洗練されていったのです。

 

  • 「ただの瞑想」ではない、「マインドフルネス」の特徴

「マインドフルネス」の最大の特徴は、宗教的な儀式や信仰とは無縁であることです。仏教にルーツがあるものの、アメリカで再構成されたこの方法は、あくまで個人の集中力や心の安定を高めるための「技術」として確立されています。

つまり、宗教に従うわけではなく、自分自身と向き合い、自分を取り戻すための方法なのです。

 

  • “別人”になるのではなく、“本来の自分”になる

「マインドフルネス」の効果は、単に「落ち着く」だけではありません。続けていくことで、不安やイライラといった否定的な感情に囚われにくくなり、過剰な反応をせず、冷静に物事を受け止められるようになります。

つまり、感情に振り回されることが減るのです。「怒り」という感情を例にとって説明しますと、これは、「怒らないように我慢する」のではなく、「怒りに支配されない」状態が生まれやすくなる、ということです。

そしてもうひとつ、忘れてはいけないのは、「マインドフルネス」を通じて本来の自分を取り戻すことができる点です。誰か自分とは別の人のようになろうとするのではなく、自分に自信を持ち、自分として生きる。そのための土台が整っていくのです。

必要なのは、ほんの少しの時間と、質の良い睡眠、そして心を静かに整える習慣だけです。

 

  • 日本に昔からあったものが、今、西洋でブームに

面白いことに、今、アメリカでは、この「マインドフルネス」が「最新のメンタルケア」として人気です。しかし、日本人からすると、「これって昔から日本でやってたことじゃない?」と感じるかもしれません。

茶道、華道、書道、柔道や剣道や空手、なぎなたの稽古など、私たちが子どものころから見聞きし、また親しんできた習い事や武道の中にも、「マインドフルネス」のような精神を整える要素はしっかりと存在していました。つまり、日本人には本来なじみ深いものなのです。

アップルのスティーブ・ジョブズが東洋思想に強く影響を受けたのも、決して偶然ではなく、乙川 弘文(おとがわ こうぶん)という日本の禅僧との関わりがあったことは、関係者の間では、よく知られたことです。

 

  • 「マインドフルネス認知療法」という新しい心理療法

この「マインドフルネス」が、いまや医学や心理学の世界でも大きな役割を果たしています。特に注目されているのが、「マインドフルネス認知療法(MBCT)」です。

これは、アメリカからイギリスに渡った瞑想法が、うつ病や不安障害の心理療法に応用され、再発予防の治療法として高い効果が確認されています。科学と伝統が融合したこの療法は、すでに多くの臨床現場で実践されているのです。

 

  • 不思議な逆輸入。日本人が日本の伝統文化を西洋人から学ぶ時代

実は筆者も、この「マインドフルネス」をアメリカ人のジョン・カバット・ジン博士から直接学びました。彼はマサチューセッツ大学医学部でこの方法を体系化した第一人者です。さらに、イギリス・オックスフォード大学のマーク・ウィリアムズ博士からは、「マインドフルネス認知療法」を直接に学び、両博士のサイン入りの受講証明書も受け取りました。

日本発祥の瞑想法を、日本人がわざわざ西洋人から学び、修了証をもらうというのは、少し不思議な感覚です。でも、それだけ西洋で洗練された「マインドフルネス」が、世界で評価されているという証拠でもあります。

「マインドフルネス」は、決して特別な人のための特別な方法ではありません。
それは、今のあなたの只中にある「呼吸」と「今」に意識を向けることから始まる、シンプルで奥深い実践です。

まずは一呼吸、深く吸って、静かに吐くところから始めてみましょう。
今日から、あなた自身の「心を整える旅」を始めてみませんか?

 

3 静かに、深く、今に気づく ― 呼吸瞑想のすすめ 

 

瞑想、と聞いてあなたはどんなイメージを持つでしょうか?
「頭を空っぽにする」「無になる」「雑念を消す」――そんなふうに思っている方も多いかもしれません。

実はそれ、ちょっと違うんです。

瞑想とは、無理に思考を止めたり、無我になろうとする修行ではありません。むしろ、どんな考えが浮かんできてもOK。それに「引っかからず、ただ気づいて流していく」こと。これが、本来の瞑想のあり方なのです。

今回は、そんな瞑想の中でも特に実践しやすい「呼吸瞑想」についてご紹介します。

 

  • 澄み切った鐘の音に導かれて、今に還る

瞑想を始める前に、私はひとつの鐘の音を使います。

それが、チベットの伝統文化の中で使われている「ティンシャ」。小さな鐘ですが、鳴らすとその音は空気を澄ませるように静かに広がっていきます。

この音には、瞑想のスイッチを入れるような力があります。日常から意識を切り離し、静かな内面へと導いてくれる。アメリカや世界中の「マインドフルネス」の実践者がこの「ティンシャ」を使っているのも、そんな理由からなのでしょう。

 

  • 姿勢は“心の土台”

さあ、「マインドフルネス瞑想」を始める準備をしましょう。まず大事なのは「姿勢」です。

といっても、決して難しい座り方をする必要はありません。椅子に座って、背中を背もたれに預け、手は膝の上に置くか、軽く机の上へ。足はしっかりと床につけましょう。

自分のお尻や太ももが椅子に接している感覚。左右に傾いていないか。肩や首に余計な力が入っていないか。そうした体の感覚に、ひとつひとつ意識を向けていきます。

このときのイメージは、「富士山」。どっしりと安定した三角形をイメージして、身体の重心が下の方にあるように感じてみてください。実際に重心が移動するわけではないけれど、気持ち的には安定し、地に足がついたような感覚が生まれてきます。

目は閉じるのか、開くのか、について坐禅では、「目はすべからく常に開くべし」となっていますが、「マインドフルネス」では、こだわりません。坐禅では目は開いて行うことを知っておけば、それでよいです。「マインドフルネス」は坐禅ではありませんので、自分がやりやすい方で行われればよいと思います。自分にとって気持ちよく出来ることが大切です。

 

  • 呼吸に気づく。たったそれだけのこと

姿勢が整ったら、次は呼吸に意識を向けてみます。

呼吸とは、私たちが生まれてからずっと続けている行為。でも、その呼吸を「感じる」という経験は、意外に少ないかもしれません。

呼吸を感じる方法はいくつかあります。

ひとつは、お腹の動き。吸うとふくらみ、吐くとへこむ。その動きを観察しているだけで、自然と腹式呼吸になり、身体の内側から落ち着いていきます。

もうひとつは、鼻を通る空気の感覚に気づくこと。吸うときはひんやりとした空気が鼻をとおり、吐くときは体温で温められた空気がスーッと出ていきます。この小さな感覚に意識を向けるだけで、私たちは「今ここ」に戻ることができるのです。

どちらを選んでも構いません。大切なのは、自分にとって心地よい方法で行うことです。

 

  • 雑念が湧いても、それでよい

「呼吸に集中しよう」としても、すぐにいろんな考えが浮かんできますよね。
「今日の予定は何だっけ」「あのときの言葉、まだ気になるな」「夕飯どうしよう」…

でも、それでいいんです。

思考が浮かぶのは、人間の脳の自然な働き。瞑想の目的は、思考をなくすことではなく、浮かんだことに気づき、引っかからずに手放すことにあります。

気づいたら、また呼吸に戻る。
気づいたら、また戻る。

この繰り返しが、「マインドフルネス」の基本なのです。

 

  • 静かな習慣を日常に

呼吸瞑想は、誰でもすぐに始めることができます。特別な知識も、道具も、環境もいりません。必要なのは、ほんの数分の静かな時間と、ちょっとした意識の向け方だけ。

毎日の生活の中にこの「静かな時間」を取り入れることで、心は自然と整い、周囲の慌ただしさや感情に振り回されることが少なくなっていきます。

深く息を吸い、ゆっくり吐く――
それだけで、自分の中にある静けさに触れられる。

今日から、あなたも一歩だけ“今ここ”へ足を踏み出してみませんか?

 

4 「無」になる必要はない       

~ 雑念だらけの瞑想が、脳を救うという話 ~

 

瞑想というと、「無になる」「心を空っぽにする」――そんなイメージがあるかもしれません。でも実際にやってみると、これがなかなか難しい。目を閉じたとたん、頭の中はむしろ騒がしくなります。

「今夜の晩ごはん何にしようか」

「仕事のメール、まだ返してなかったな」

「週末の予定どうしよう」

 

こうした思考が次々と湧いてくる。しかも、次から次へと途切れることがない。

これでは「無」どころか、「超・有」状態。こんな自分は瞑想に向いていないんじゃないか……と、がっかりしたことがある方も多いのではないでしょうか。

でも、実はそれでいいんです。

 

  • 雑念が浮かぶのは、ごく自然なこと

私たちは特別な修行を積んだ僧侶ではありません。日々、仕事や家庭、人付き合いに追われる「普通の人間」です。だからこそ、瞑想中に雑念が浮かんでくるのは、ある意味では当然なのです。

大事なのは、その雑念に「気づく」こと。

「ああ、今こんなことを考えているな」と自分の思考に気づいた瞬間、それが瞑想の第一歩です。たとえ内容が「昼にラーメンでも食べようかな」だとしても(笑)、それでいいのです。

 

  • 追いかけず、ただ手放す

ただし、その考えをずっと追いかけてしまうと、脳が休まりません。特に悩み事がある場合、思考が暴走してしまい、瞑想どころではなくなってしまいます。

だから、コツは「追わないこと」。
考えが浮かんだら、「あ、また考えてるな」と気づき、そっと手放して、すぐに呼吸に意識を戻す。吸って、吐いて――呼吸の感覚に集中する。それだけです。

この一見単純な行為のなかに、脳を深く休めるためのヒントが隠されています。

 

  • 今は忘れていい、そう自分に言い聞かせる

瞑想中に仕事のことを思い出すのは、よくあることです。
「あの資料の提出、まだだったな」

「午後の打ち合わせ、どうしよう」

でも、そういうときは自分にこう言い聞かせてみてください。
「それは後でやればいい。今は忘れていい時間なんだ」と。

この「今は忘れていい」という許しの言葉が、自分自身にとって思った以上に大きな効果を持ちます。

どうしても気になる場合は、小さい手帳をポケットに入れておいて、その都度、手帳に書き留めておいて、書いたら直ぐに忘れてしまう。このような方法もあります。

そして、また呼吸に戻る。ただそれだけの繰り返しですが、これがやがて脳の静けさにつながっていきます。

 

  • 脳は、静かな時間を求めている

現代人の脳は、とにかく疲れています。情報が多すぎて、常に何かを判断し、反応し、考え続けている。でも、本当は脳も休みたがっているのです。

この呼吸に意識を向けるというシンプルな時間は、脳にとって非常に効率の良い休息になります。数分の瞑想でも、終わった後に頭がスッキリし、集中力や判断力が回復していることに気づく人も多いのです。

 

  • まずは1分間の静けさから

瞑想と聞くと、難しいとか長時間やらないと効果がないと思いがちですが、そんなことはありません。最初はたった1分、静かに座って呼吸に意識を向けるだけで十分です。

たった1分。でも、その1分の間、頭も心も体もふっと力を抜くことができたなら、それは立派な瞑想です。

「無」になれなくていい。

考えが浮かんでもいい。

大切なのは、それに気づき、そっと手放して、今ここに戻ること。

忙しい毎日の中で、そんな静けさの時間を少しだけでも持てるようになったら――。

それだけで、私たちの心と脳は、ずいぶんと楽になるはずです。

 

  • 瞑想を終えるときは

短い瞑想を終えた後、ふと目を開けると、部屋の明かりが少し眩しく感じられるかも知れません。ゆっくりまばたきを繰り返しながら、視界を現実の世界へと戻していきます。

瞑想を行ったことがある方は、ご存じかもしれません。終わり方にも、ちょっとした“作法”があるのです。いきなり目をぱちっと開くのではなく、少しずつ、呼吸と感覚を現実に連れ戻す。その丁寧なプロセスが、静かな心地よさを長く保つ秘訣なのです。

そのためには、まずは、まぶたに意識を向けて、そっと目を少し開いて、また閉じて。そんなふうに軽くパチパチとまばたきをするだけでも、身体が静かに目覚めていきます。

部屋の明るさに目が慣れてきましたら、大きく目を開いて、瞑想を終了。

その後、肩や腰をやさしくなでたり、背中を伸ばしたりする動作を入れると、身体全体がほぐれて「よし、日常に戻ろう」という気持ちになります。

まるで、心と体に「お疲れさま」と声をかけるような、そんな時間です。

 

5 瞑想中に短時間でも、眠気を感じたら          

~ 睡眠が足りていないのかも知れません ~

 

瞑想の時間は、ほんの3分から5分程度だったかもしれません。それでも、ウトウトしてしまったという方がいたなら、それは身体が「眠りたい」と言っているサインです。

日々の忙しさの中で、睡眠が足りていないのかもしれませんね。

そんなときは、自分に1時間ほど多めの睡眠をプレゼントしてあげてください。睡眠不足は、意外にも心のバランスを崩す大きな要因になりがちです。

 

  • 修行の場でも、人は眠くなる

お寺で坐禅を体験された方なら思い出せるかもしれません。座禅の最中、僧侶が「警策(けいさく・きょうさく)」という棒を持って、座っている人たちの間を静かに巡っていたことを。

あれは何をしているかと云うと、多くは眠ってしまった人を起こしているのです。

どれほど厳かな場であっても、30分も座っていれば人は眠くなる。それだけ、瞑想には深く心を緩める力があるということです。

一方で、これは「瞑想が不眠に効く」という証でもあります。眠れない夜、布団の中で静かに瞑想をするだけでも、心がほぐれ、眠りへと導かれていきます。

 

  • 不眠に悩むあなたへ:布団の中での瞑想を

眠れない夜。

時計の針の音が気になったり、考えごとが止まらなかったり。そんなときには、無理に眠ろうとするのではなく、瞑想を試してみてください。

やり方はとても簡単です。布団の中で目を閉じて、呼吸に意識を向けます。浮かんでくる考えはそのままにして、ただ「気づいて」「手放して」、また呼吸に戻る。このくり返しが、知らず知らずのうちに心をほどいてくれます。

私も若い頃は、なかなか眠れずに悩んだ時期がありました。けれど、瞑想を習慣にしたことで、いつの間にか不安が薄らぎ、気づけば眠れていた。あれは今でも、小さな奇跡のように思えます。

 

  • 「すぐ眠れる」は、必ずしも健康の証ではない?

ところで、こんな話をよく耳にします。
「私は布団に入ったら数秒で眠れる。健康そのものですよ」

一見、うらやましい話に聞こえますよね。でも、実はこれ、本当に健康なのでしょうか?

本来、健康な人間は、布団に入ってから15分ほどかけて、少しずつ眠りの世界へ入っていくのが自然です。その時間は、身体と心が「緊張」から「弛緩」へと移っていく大切なプロセス。

反対に、目を閉じた瞬間に眠ってしまうのは、脳がすでに疲れ果てていて、少しのきっかけでシャットダウンしてしまう状態。つまり、慢性的な寝不足のサインです。

こうした人は、車の運転中にふと暗いトンネルに入ったとたん、急に眠気が襲ってくる危険もあります。ほんの数秒の居眠りも、運転中は大事故につながりますので注意が必要です。

 

  • 夜中に目が覚めても、あわてない

夜中に「パチッ」と目が覚めてしまう。そんな経験、ありませんか?
トイレに起きた後や、夢から覚めた時に起こりがちですが、そこから眠れなくなってしまうこともあります。

そんなときも、あわてずに。

「もう一度、瞑想してみよう」

そう思って、呼吸に意識を戻すと、自然と眠気が戻ってくることがよくあります。呼吸は、心を深く静めてくれる“灯り”のようなもの。

ちゃんと眠れるようになると、不安や気持ちの揺らぎも、ずいぶん落ち着くものです。

 

  • まじめな人ほど、眠りをおろそかにしがち

うつ病になりやすい人の傾向に、「まじめ」「責任感が強い」という共通点がよく挙げられます。与えられた仕事に真正面から取り組み、丁寧に仕上げる。その姿勢は素晴らしいことです。

でも、そういう人は、頼まれごとがどんどん増えていっても、断らず、夜遅くまで取り組んでしまうことが多いのです。そして、やがて寝不足になり、疲れがたまり、心が折れてしまう……。

どれだけ頑張っても、どんなにタフな方でも、人には休息が必要です。

だからこそ、「今日はここまで」「あとは明日」と、区切りをつけて眠ることが大切です。良い仕事をするためには、ちゃんと眠ることがいちばんの準備なのです。

 

  • 「瞑想」という、自分や環境にやさしい習慣を暮らしの中に

不眠は、眠れないことそのものより、「眠れないかもしれない」と思ってしまう心の緊張が原因になることも多いものです。だからこそ、瞑想を日々の生活に取り入れることで、その緊張をゆるめていけます。

特別な道具も場所もいりません。数分、目を閉じて呼吸に耳を澄ませるだけ。それだけで、心と身体に静かな波が広がっていきます。

あなたが今日、静かな呼吸に出会えたなら。

それは、健やかな眠りへの第一歩かもしれません。

 

6 「今」に帰るということ                

~ 日常、身近にあるマインドフルネスの力 ~

 

「もう一度、瞑想やってみましょうか。」

瞑想と聞くと、特別な空間で、静かに座って、心を空っぽにする……そんなイメージを持つ方も多いかもしれません。でも実は、マインドフルネスという考え方は、もっとずっと身近なもの。日常のほんの些細な場面でも、深い効果をもたらしてくれるのです。

 

  • 「今」を感じることから始まる

瞑想の基本は、「今この瞬間」に意識を向けること。評価したり、良し悪しを決めたりせずに、ただ“あるがまま”の体験を味わいます。たとえば、呼吸に意識を向けてみる。息を吸って、吐いて、また吸って……。その繰り返しの中に、「今」の自分が確かに存在していることに気づきます。

私自身、最初は「呼吸に意識を向ける」というだけで何が変わるんだろう?と思っていました。でもやってみると、案外心が落ち着いてくる。ほんの数分でも、頭の中が静かになるのです。

 

  • お皿洗いも立派な瞑想

「マインドフルネス」は、決して座禅のように特別な姿勢で、いつも行う必要はありません。たとえば、台所でお皿を洗うとき。何気なく手を動かすのではなく、一枚一枚のお皿をじっくり見て、どこが汚れているかを確認し、丁寧に洗っていく。手の中で感じるお皿の感触、水の温度、洗剤の泡の形。それらをしっかりと感じ取りながら作業をすることで、日常の動作がそのまま瞑想になるのです。

そうすると不思議なことに、心が落ち着いてくるのです。頭がすっきりして、気持ちまで整っていくような感覚。日々のストレスが、少しずつ、でも確かに溶けていくのを感じます。

 

  • 悩みの多くは、「今」から離れた心

人が悩むときって、大抵「今」に意識が向いていないんですよね。過去にしてしまった失敗や、思い出したくもない出来事、「あのときああしていれば……」といった後悔にとらわれてしまう。もしくは、まだ起きていない未来のことで不安になったりします。「これからどうなるんだろう」「もし失敗したら……」と、どんどん想像が先走って、心が不安に占領されてしまう。

でも、その間、今やっていることには、ほとんど意識が向いていないんです。食事も味わって食べた感じがしないし、目の前の人の言葉も耳に入ってこない。そんな経験、誰しもあるのではないでしょうか。

 

  • 意識を「今」に戻すこと

そんなときこそ、「今に戻る」ことが大切です。たとえば掃除をしているなら、その掃除に集中する。床を拭いている手の動き、ホコリの有無、空間の変化。こうして一つひとつの動作を丁寧に感じていくことで、意識は自然と「今」に引き戻されます。

悩みや不安は、過去や未来に心が飛んでいくときに生まれます。

でも、私たちが本当に生きているのは、「今、この瞬間」だけ。

そこに意識を留めていくことで、少しずつ心は整い、自由になっていきます。

 

  • 呼吸に戻る。そんな時間と場所があるということ

もし迷ったら、呼吸に戻ってみましょう。静かに、ゆっくりと、自分の呼吸を感じてみる。吸って、吐いて、また吸って……。それだけで、心は少し落ち着いて、今この瞬間に帰ってこられます。

今日も、あと1、2回、最も基本の呼吸瞑想をしてみようと思います。ほんの数分でも、自分の「今」を取り戻す時間。それは、日々の中で少しずつ、自分を大切にしていく行為なのかもしれません。

 

7 マインドフルネス子育て法 ~ 子育ては二度と戻らない「今ここ」の連続  

~ マインドフルネスが教えてくれる、嵐の中の光 ~

 

子育てって、本当に嵐のようですよね。

朝から晩まで、やることは尽きないし、子どもの機嫌や体調で一日が左右されたりする。昨日できたことが今日はできなかったり、寝不足のまま朝を迎えたと思ったら、もう夜になっていて……。

そんな日々の中で、「今ここに意識を向けましょう」と言われても、正直、難しいと感じる方もいるかもしれません。でも、実はこの「今ここ」を感じることこそが、子育てをちょっとラクに、そして豊かにしてくれる鍵なのだと、私は思います。

 

  • 子育て中の「今ここ」は、ただの癒しじゃない

最近よく耳にする「マインドフルネス」という言葉。瞑想や呼吸法など、静かな場所でじっくり取り組むイメージがあるかもしれません。でも、それだけではありません。日常の中で、ふと立ち止まり、「今、自分は何を感じているのか」「何が目の前にあるのか」に気づく――それも立派な「マインドフルネス」です。

たとえば、赤ちゃんのおむつを替えるとき。バタバタと機械的に済ませるのではなく、赤ちゃんの肌のぬくもりや表情、小さな手足の動きに意識を向けてみる。それだけで、ただの「作業」だったはずの時間が、少し違ったものに感じられてくるのです。

 

  • 子どもと一緒に過ごせる時間は、思っているより短い

子どもと一緒にいられる時間って、意外と短いものです。たいていは、18歳くらいまで。そこから先は、進学や就職、結婚などで、同じ屋根の下に暮らすことは少なくなります。

今、子どもがあなたのそばにいて、笑って、話しかけて、泣いて、甘えてくれる――そんな日々は、人生の中でもほんの一部。けれど、あまりに日常的で、忙しすぎて、ついその貴重さを忘れてしまいがちです。

 

  • 「今ここ」を感じると、心にエネルギーが戻ってくる

「マインドフルネス」の素晴らしいところは、意識を「今この瞬間」に戻すことで、心のエネルギーが少しずつ充電されていくことです。

私たちは、悩んだり、先のことを考えすぎたりすると、気づかないうちにどんどんエネルギーを消耗しています。でも、「今、ここに子どもと一緒にいる」「今、太陽の光が気持ちいい」「今、この笑顔が愛おしい」――そんな風に“今”を味わうことで、エネルギーが内側から満ちてくるのです。

 

  • 散歩も、おむつ替えも、寝かしつけも…全部がマインドフル

特別な時間をつくる必要はありません。散歩中に手をつなぐとき、その小さな手の柔らかさに気づいてみる。隣で楽しそうにおしゃべりする子どもの声に耳をすませてみる。それだけで、いつもの風景が少し違って見えてきます。

寝かしつけのときの静けさや、絵本を読んでいるときのまっすぐなまなざしも、よく考えてみれば、本当に短い間しか味わえない瞬間です。

 

  • 人生は、二度と戻らない瞬間の積み重ね

こうした小さな「今ここ」の積み重ねが、実は私たちの人生を形作っています。過去を悔やんだり、未来を心配したりするよりも、目の前の一瞬一瞬に心を込めること。そうすれば、育児も、人生も、もっとやさしく、もっと愛おしいものになっていきます。

 

  • マインドフルな時間を、日常にちりばめてみる

瞑想ができなくてもいい。忙しくてもいい。ただ、ほんの一瞬立ち止まって、「あ、今の声かわいかったな」「今日はいい天気だな」と思うだけで、それはもう立派な「マインドフルネス」です。

子育ての中に、そんな“気づきの時間”をちょっとだけ散りばめてみませんか? そうすることで、嵐のような毎日にも、きっと小さな光が差し込んできます。

この話は、あるホームページで見かけた内容がきっかけでした。「ああ、いいな」と思って、自分なりに少し言葉を変えながら、こうして皆さんにもシェアしています。

もし今、ちょっと疲れていたとしても――その疲れの中にも、マインドフルな“今”がひそんでいるかもしれません。どうか、今日のあなたの「今ここ」が、少しでも穏やかで、やさしいものでありますように。

 

8 ホリスティック教育と瞑想の実践            

 

最後に、もう一度、静かに瞑想を試してみましょう。「幸せの瞑想」と私が名付けた方法です。これは、カナダ・トロント大学のジョン・ミラー氏が提唱する「ホリスティック教育」の一環として行われている瞑想法に基づいています。彼は教育現場において、学生と一緒に実際に瞑想を取り入れており、その手法に深い感銘を受けた私は、自分自身の実践にもこの方法を取り入れるようになりました。

ホリスティック教育とは、人間を身体・心・精神の全体として捉え、学習だけでなく、人としての成長や内面の豊かさにも焦点を当てる教育のことです。その考え方の中心にあるのが、「幸せ」に生きるという視点です。

 

  • まずは、自分の幸せを大切に

私たちは、誰もが幸せになるために生まれてきたのです。不幸になるために生まれてきた人など一人もいません。だからこそ、まず自分自身の幸せを願い、それを大切にすることが出発点です。

「自分さえ我慢すればいい」と思って誰かを幸せにしようとするのは、本来の心の健康からは少し外れてしまいます。むしろ、自分がしっかり幸せを感じられることで、その幸せが周囲にも自然と広がっていく。これこそが、本当の意味で健全な心のあり方なのだと思います。

 

  • 「詩:幸せの瞑想」を声に出して読む

では実際に、幸せの瞑想を一緒にやってみましょう。お手元にプリントがあると思いますので、ご覧ください。ゆっくり声に出して読んでみましょう。

 

幸せの瞑想

私が 健やかで、幸せで、平和でありますように

私のすぐ隣にいる人が 健やかで、幸せで、平和でありますように

この部屋の全ての人が 健やかで、幸せで、平和でありますように

このWebにつながる全ての人が 健やかで、幸せで、平和でありますように

この街の全ての人が 健やかで、幸せで、平和でありますように

この市(町、村)の全ての人が 健やかで、幸せで、平和でありますように

この県(都、道、府)の全ての人が 健やかで、幸せで、平和でありますように

この国の全ての人が 健やかで、幸せで、平和でありますように

この地球の全ての人が 健やかで、幸せで、平和でありますように

(出典:ジョン・ミラー「ホリスティック教育」春秋社)

 

  • 呼吸を感じながら、心を「今ここ」に

では、2分間だけ、瞑想を試してみましょう。まず、手はテーブルの上に自然に置いて、身体を支えやすい姿勢をとってください。そして、さきほどお伝えした呼吸に意識を向けていきます。

悩みや不安が浮かんできても、それらに引き込まれず、ただ「今この瞬間」を感じ取っていきましょう。

 

  • 瞑想を終了する時は、目を閉じたり開いたり、視界に意識を戻す

一度、目を軽く閉じ、そしてゆっくりと開いてみてください。部屋の空気が少しずつ目に入ってきて、明るさに目が慣れてきたら、目をしっかりと開けてみましょう。これで、瞑想はひとまず終了です。

身体を軽く伸ばしてリラックスし、静かに目を開けたままでいてください。今、ちょうど時間もいい頃合いですね。

 

9 気持ちの良い睡眠に導く3つの瞑想法  

 

ここで、不眠に悩んでいる方のために、3つの瞑想法をご紹介しておきます。以前お配りしたプリントをご覧ください。

  • 呼吸瞑想
    先ほど行ったような、呼吸に意識を集中させる方法です。

 

  • 月の砂漠瞑想法
    これは私が考案した方法です。童謡「月の砂漠」に出てくる「ラクダ」にちなんでいます。仰向けに寝て、呼吸瞑想を行いながら、「ラクダー」と心の中で唱えながら息を吐きます。また息を吸って、「ラクダー」と繰り返します。実はダジャレなんです。「ラクだ(楽だ)」という意味も含まれています。簡単ですが、不思議と眠りにつける方法です。

 

  • 数息観(すそくかん)
    これは禅の修行で用いられる瞑想法です。息を吐くたびに数を数えます。「一つ、二つ…十まで」行ったら、また「一つ」に戻ります。これを繰り返しているうちに、自然と意識が静まり、眠りにつきやすくなります。

 

  • 「雑念」は悪いことではない

何度も申し上げましたが、瞑想中によくある悩みとして、「雑念ばかり浮かんでしまって、うまくできない」と感じる方がいます。でも、それはごく普通のことなんです。

「雑念」という言葉は少しネガティブに聞こえますが、浮かんできた考えの中には、自分にとって大切な「グッドアイデア」が混じっていることもあるのです。だから、それらをすべて否定せず、「想念」として自然に受け止めてください。

つまり、心が自由であること、ただそこにいること。寝る前なら、横になって、呼吸に意識を向けるだけでも充分です。これだけで、体も心もふっと軽くなり、深い睡眠が得られるようになります。

 

  • 不眠症の人に伝えたいこと

よく、「目をつむったらすぐ寝られるといいのに」という方がいますが、不眠症に悩む方からすれば、それは夢のようなことです。実際、眠ろうと意識すればするほど眠れなくなるもの。

だからこそ、「普通は15分くらい寝つけなくて当たり前」と思うことが大切です。そう聞くだけで、不眠症の方の心は少し楽になります。焦らず、ゆっくりと心と体をゆるめてください。

 

  • いびきが気になる方は検査も視野に

もし家族から「いびきがひどい」と言われたら、睡眠時無呼吸症候群(SAS)の可能性もあります。これは、寝ている間に呼吸が止まり、十分な睡眠がとれない状態が続く病気です。

かつて、新幹線の運転士さんがホームに停車せず通過してしまった事案がありました。その原因が、睡眠時無呼吸症候群による慢性的な睡眠不足だったのです。それがきっかけで、睡眠時無呼吸症候群という病気があることが一般に知られるようになりました。顎が小さめの日本人には比較的多い病気とも言われています。気になる場合は、一度、医療機関で検査を受けることをおすすめします。

 

  • どんなことでも、お気軽にご質問ください

今日は「マインドフルネス」をテーマにお話ししましたが、質問の時間を取りますので、本当にどんなことでも構いません。質問がある方は、どうぞ遠慮なく聞いてください。

子育て中の方、特に里親としてお子さんを育てていらっしゃる方は、いろいろなご苦労や悩みもあることと思います。今日は時間の関係で触れられませんでしたが、また機会があれば、そうしたお話も是非していきたいと思います。ご清聴ありがとうございました。

 

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